カテーテル中に患者に声かけする目的は、カテーテルが無事に終わることだ。
患者の不安を和らげ、安心感を与えることも重要だが、何よりも無事に検査や治療を終えなければならない。そのため、声かけのタイミングは非常に重要なのである。
声かけのタイミングでベターなのは、(1)造影剤投与直後、(2)最初の手技の前後、(3)大きな音が出る直前、(4)患者の表情などを見て判断するとよい。
まず、造影剤投与直後だが、アナフィラキシーショックは直後に起こることがあるので、このタイミングで声かけして症状の確認をする。次は最初の手技の前後だが、手技の前に簡単な説明をして患者の不安を和らげ、手技の後には症状の確認をする。3つめはレーザーなど大きな音がする機械を使用する際だ。カテーテルは全身麻酔ではないので、周囲の音はすべて患者の耳に入るのだから、声かけして安心してもらうようにしたい。4つめは患者が苦痛の表情を浮かべたり、STに変化があった時だ。
声かけしてはいけないタイミングは、手技中の中でも特に、患者が息止めをしている時だ。
声かけして患者が答えてしまうと、息止めにならない。また、Ballon拡張時、STENT位置決めの時は、動いている心臓の0.何ミリという微妙な位置を目がけて手技をしているので、患者にしゃべらせて横隔膜が動くのは絶対にNGだ。当然、透視・撮影中も声かけNGである。患者に近づいて声かけすると、自分自身が被ばくする危険があるうえ、手技を中断させてしまうからだ。看護師の振る舞いで患者を危険にさらしたり、手技を邪魔しないようにしよう。